まずは次の2つの詰将棋を解いてみてください。
両方とも3手詰です。
[第1問]作者不詳
[第2問]行き詰まり(詰将棋パラダイス397号幼稚園13)
第1問は有名な作者不詳の古図式で、将棋を少しでもかじった人なら一度は見た記憶があると思います。今まで多数の将棋入門書に取り上げられた、まさに初心者が必ず通らなければならない道と言えましょう。
初手61角成は同玉、62銀、72玉、73銀打、83玉と逃げられて失敗。
また、52銀は同銀右、同角成、同銀、62銀、41玉と逃げられてこれも失敗。
正解は52角成!(途中図)、同銀右、62銀迄3手詰。
(第1問途中図)
将棋を始めたての頃は大駒である飛角は思い切りよく捨てられるものではなく、相手に取られようものなら負けを覚悟してしまいます。
その大駒を初手に捨ててしまうのですから、初心者にとってこれがどれほど衝撃的な問題であるかは容易に察することができることでしょう。
第2問は詰将棋パラダイスに発表された3手詰。
初手は香を動かす一手です。
どこに動かすかは後回しにして、対する玉方の応手は王手している角を龍で取るか、54玉と逃げるかの2通り。
54玉には56龍!という好手があってそれまでの詰み。
また、97龍と角を取っても、香を73に成っておけば74龍と入って詰み。
つまり、73香成、97龍、74龍迄3手詰、が正解――ではないのです!
73香成には86歩合!、同角、54玉、56龍、98龍!(説明図)と根元の角を取られてしまうのです!
(第2問説明図)
正解は72香成、97龍、73龍迄3手詰。
この場合、2手目の86歩合には73龍が成立するのです。
この作品は詰将棋パラダイス発表時、183名中98名もの誤解者を出し(これがどれだけすごい数字かは本誌の他の作品の結果稿を見ていただければわかるはず)、見事平成元年度の看寿賞短編賞を受賞しました。
同じ3手詰といっても第1問が初心者向け登竜門であるなら、第2問はマニア向け登竜門といったところでしょうか。
今後、果たしてこの2つの問題を超えるような3手詰が登場するのかどうか、大いに注目されるところであります。
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