第1問は5手詰、第2問は15手以内の短編です。
まずはチャレンジしてみてください。
[第1問]清水一男(詰将棋パラダイス昭和40年3月号)
[第2問]山本 進(将棋世界平成2年8月号)
第1問は5手詰―大ヒントともいえるこの言葉が実はとてつもない足枷となってしまうこともあります。
初手、詰将棋らしく捨てる13桂成は同桂なら24金で詰みますが、同玉と取られると以下24金、同歩、同角成、22玉…で逃れています。
先に24金と打っておいても、同歩、13桂成、同玉で逃れます。13金、24角成も続きません。
すべての候補手がなくなったと思えるこの局面に、実に平凡な一着が隠されていたのです。
正解は15角成!(途中図)、同玉、16歩、26玉、27金迄5手。
(第1問途中図)
普通、詰将棋では駒を取る手は悪手、駒を捨てる手は好手とされることが常識となっています。
5手詰で駒を取ってもしかたないという常識。
その裏をかくような駒取り(しかも歩!)は、詰将棋慣れした人ほどはまりやすい盲点といえるでしょう。
第2問は将棋世界誌に発表された作品です。
初手23金が第一感ですが21玉と逃げられて続きません。
ひねって11金は22玉、13龍、同玉、24金、22玉以下逃れています。
普通なら数秒で詰ませるプロ棋士谷川浩司が数分かかって解いた、といういわく付きの作品です。
あなたはどれくらいで解けましたか?
正解は13龍!、同玉、14金、22玉、13金打、21玉、24飛、32玉、22飛成迄9手。
(第2問途中図)
最強の駒である龍をいきなり金と換えてしまう初手はまさに絶妙手。
3手目は33に利かせる意味で24金と打つのが常識ですが、それでは後々24飛と回れず詰みません。
初手の駒取りと、3手目の不利な金打。
この二つの要素が見事に絡み合い、想像以上の難解作となりました。
駒を取る不利感、というテーマの作品はまだ未開発の部分が大きく、今後どのような作品が出てくるかひじょうに楽しみな分野であります。
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