短編部門:小林敏樹 作(詰将棋パラダイス6月号順位戦B級)
3七銀打、同飛成、4九香、4八龍、同香、3六玉、3二飛成、同馬、3三飛、同馬、3七金、同桂成、5四馬まで13手
序中終いずれも緩む手がなく、絶え間ない緊張感は短編詰将棋の醍醐味を味あわせてくれる。
詰パラ解答募集で平均点4.55(5点満点)の高得点を得て、短編第一人者の面目躍如の受賞となった。
中編部門:相馬康幸 作(詰将棋パラダイス12月号デパート)
3九香、2二玉、4四馬、3三銀、3四桂、1二玉、1三香、同桂、2四桂、同歩、2二桂成、同銀、同馬、同玉、2三香、同玉、3二銀、1二玉、2三銀打、1一玉、2一銀成、同玉、3二香成、1一玉、2二成香まで25手
初形盤上6枚の簡素な好形から唐突に出現する最遠香打は、まさに見るものを驚かせる。
収束ではその香が動いて、なんの痕跡も残さないなど、奇跡的な完成度を誇る準実戦型。
中編部門:山田修司 作(詰将棋パラダイス7月号大学)
「回転銀」
4九金、同玉、4七龍、3九玉、4八銀、2九玉、3八角、2八玉、3九銀、同玉、4八龍、2八玉、4九角、2九玉、3八銀、2八玉、4七銀、2九玉、3八角、2八玉、1六角、2九玉、3八銀、2八玉、4九銀、2九玉、3八角、2八玉、4七角、2七玉、3八銀、2八玉、2九銀、2七玉、3八龍、同飛成、同角、3六玉、3四飛、4六玉、4七金、5五玉、5六金まで43手
角と銀の入れ替えパズル、詰将棋の持つパズル的な側面をひじょうに強調した作品となっている。
都(5五)で詰め上がる玉も意外性があり、2.92(3点満点)の高い評価を得た。
長編部門:I.TADASHI(伊藤 正) 作(詰将棋パラダイス8月号大学院)
「馬×馬」
3三歩、同玉、4四角成、4二玉、5二角成、3二玉、5四馬、2三玉、3四馬、1三玉、3五馬、2三玉、4五馬、1三玉、4六馬、2三玉、5六馬、1三玉、5七馬、2三玉、6七馬、1三玉、6八馬、2三玉、7八馬、3三玉、3四馬、4二玉、5二馬、3三玉、5五馬、3二玉、6五馬、2三玉、3四馬、1三玉、3五馬、2三玉、4五馬、1三玉、4六馬以下267手
右寄りの馬ノコが1周している間に、左寄りの馬ノコが2コマ動く。目的は98歩を入手して、収束に向かうことである。
馬ノコに馬ノコを掛けあわせる発想と、それを実現させる作者の力、解答評価でも3点満点を得て受賞につながった。
長編部門:田島秀男 作(詰将棋パラダイス10月号大学院)
「乱」
2七飛、1六玉、4七飛、2七歩、1七歩、1五玉、4五飛、2四玉、2五飛、1四玉、3五飛、1三玉、1五飛、2四玉、1四飛、3五玉、3四金、4五玉、4六歩、5五玉、1五飛、6六玉、6五飛、5七玉、5五飛、4八玉、5八飛、3七玉、5七飛、4六玉、5六飛、4五玉、4四金、3五玉、3六飛、2四玉、3四金、2五玉、3五飛以下451手
七段目に並んだ歩を1枚ずつ剥がしてゆくのだが、その機構は複雑怪奇。飛車による追い回しも昏迷を極め、解答者の誰一人として正解に辿りつくことができなかった史上稀にみる難解作である。
特別賞:加藤 徹 作(詰将棋パラダイス12月号大道棋冬期臨時教室)
8四銀、9四玉、8三銀、9五玉、7七角、8六歩、9四飛、8五玉、9五飛、7六玉、7五飛成、6七玉、6五龍、5八玉、6八龍、4七玉、3八銀、3六玉、6六龍、4六歩、3七歩、2六玉、4六龍、1七玉、1五飛、2八玉、2六龍、3八玉、1八飛、4七玉、3六龍、5七玉、6八角、6七玉、4七龍、7六玉、1六飛、4六歩、同飛以下97手
一見ふつうの大道棋銀問題だが、飛角3枚の追跡を盤上30格以上にわたって遁走する玉、大道棋史上最長の97手をかけて詰め上げる。
大道棋に力を入れてきた作者の執念が実った作品といえよう。
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