さて、今回はいままで皆さんがお目にかかったことのない詰将棋をご紹介しましょう。
「お目にかかったことはない」といっても、物怖じされることはありません。
むしろ普通の詰将棋よりもより実戦に近いと言ったほうが正しいと思います。
図をご覧ください。
盤上の配置は玉と金と桂のみのいたってシンプルなものですが、その下の持駒のところに注目してください。
今までの詰将棋は攻方(先手)の持駒を示し、全ての駒数(40枚)から盤上の駒数と攻方の持駒の数を引いた残り全てが、玉方(後手)の持駒とされていました。
しかし、この作品は後手の持駒も示すことによって、手順や配置を簡略化することに成功しています。
まだ市民権を得たとは言い難いのですが、今後流行ることは間違いないと思われる条件なのです。
さて、本作。
攻方の持駒は飛車1枚、玉方も飛車1枚。ということは飛車の王手に対して玉方が合駒に使用できるのは盤上の金を動かすか持駒の飛車を使うかの二通りとなります。
ヒント:「飛を打って、飛合い、同飛、同金」このワンセットで金をヒトコマずつずらせて詰め上げます。
(正解はこのページのいちばん下)
先に書いた「後手の持駒制限」のおかげで、攻方が飛を打ったときに、玉方は飛を合駒するしかありません。
(2手目に66金上とするのは同飛、同玉、57金打以下があります)
図では玉方の金の様子を赤い矢印で示してみました。
金というのは上部に厚く、下に弱い駒ですから全て上ずらせれば自ずと死角が出てくるというものです。
ちなみに最後に玉の死命を制したのは、最初に後手の持駒にあった飛車でした。
ぜひ、ご確認を。
掲示板にて結果発表が行われました。いくつか寄せられた短評を再掲します。
モーニング「解けました。最初、こんなん合駒されたら詰まないやん、って思ったら玉方の持駒は飛車しかないんですね。それがわかったらすらすら解けました。前回と同じくらい易しいですが、前回と同じくらい面白かったです」
すどう「後手の持駒を指定することで、また新たな可能性が広がる、ということをまさに証明している作品ですね。使用駒の統一や、徹底された手順の面白さ、愉快さなど大満足の作品です!」
風みどり「4×5+1……のヒントでぱっと解けました。この私が盤に並べないで解けるなんて……うぷぷ。嬉しいです。合駒が飛角になっためいとの7番(だったけ)と同様、明解!な所が素晴らしいです。成熟した前衛作品とでもいうべきなんでしょうか。Niftyはたまに覗いていたんですが、あの図面はどうもだめで、見逃していたのが悔やまれます。でも、おもちゃ箱当選!ということで楽しみが膨らみます」
須川卓二「またまた、やさしさに釣られて解いてしまいました。4×5+1なんて見事なヒントで、楽しさ倍増ですね。やさしいながら、ちゃんとしている…私の理想的作品です」
田利 廣「詰んだー。と飛車を打つ手の速かったこと、速かったこと。スミマセン。最後の金が動いてくれた時、昔懐かしいファミコンゲームの「ロードランナー」とイメージがダブってしまい逃げられる前にとつ力が入ってしまいました。急がなくても王様は逃げやしないのに」
Moonist「初手最遠打ちしてしまうのは図巧の影響でしょうか。66金の形でなく67金の形からはじめたところにちょっとした味付けを感じました。双玉にしたのも使用駒趣向なんですね。これからも鬼のような詰将棋と、このようなかわいらしい詰将棋とを見せていただくようにお願いいたします」
正解―56飛、66飛、同飛、同金引、78飛、77飛、同飛、同金、56飛、66飛、同飛、同金、74飛、75飛、同飛、同金、96飛、86飛、同飛、同金、75飛まで21手。
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