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       期待の若手、大崎壮太郎さんの作品で、玉方の持駒に制限のある詰将棋の登場です。 
      すでに第3話、7話、11話にてご紹介した持駒制限。玉方が合駒として使用できる駒を制限することで、手順の易化、そして何より配置を軽減させることが可能です。 
        まだまだ浸透はしていませんが、解く方も楽しめるし、作る方も楽しめる(というよりは、楽?)、こんな詰将棋を見過ごすわけにはいきませんよね。 
        
      初手は19香の一手。対して27玉なら47飛があるので19同玉……。さて、ここからいったいどのような手順が飛び出すのでしょうか? 
      手数は長いですが、仕掛けさえわかってしまえばあとはその繰返し。楽しんでください(^-^) 
        ヒントは……香車を手に入れろ! 
        43手詰です。 
       
       
      初手に歩を打つのは27玉、29香、17玉以下逃れ。 そこで香車を捨てて開き王手となります。
初手から19香、同玉、26飛、82歩、 
        
      本作は後手の持駒が制限されていますから、合駒調べは簡単ですね。 
        香合なら82同馬、同飛、29飛、18玉、19香まで。 
        さて、歩合限定を取るわけにはいきませんから、29飛の一手。さらに81馬の王手に対しても香合は駄目で歩合限定……手順が見えてきましたよね? 
      図以下29飛、18玉、81馬、72歩、19歩、17玉、71馬、62歩、18歩、★16玉、61馬、52歩、17歩、15玉、51馬、42歩、16歩、14玉、41馬、32歩、15歩、13玉、31馬、22歩、14歩、同玉、32馬、23香、 
	  
      手順中、歩の突き出しに対して同玉と応じられるとどうなるのでしょうか? 
        例えば、★16玉のところで18同玉ならば即座に72馬と引き、すでに62歩が盤上にあるために玉方は63香とせざるを得ません。香を入手できれば玉頭を歩で連打して香打ちまでの詰みがあります。他の箇所も同様に歩の突き出しを取ることはできません。が、1筋を最後まで追い詰めてしまえば取る一手となります。 
        そこでようやく香を入手できる局面が訪れるわけ(上図)。 
      図以下23同馬、同歩、15歩、同玉、16歩、同玉、17歩、同玉、18歩、同玉、19香まで43手。 
      初形から二段目に歩が並ぶ間、1筋では歩の突き出し。最後は1筋を歩の連打と、とにかく歩が主役の一品。 
      盤上9枚の駒からこれだけ趣向的で長い手順を生み出すとは大したもので、作者である大崎さんの実力だけではなく、何事にも挑戦する姿勢を示した良い作品だと思います……誉めすぎでしょうか?(^^ゞ 
         
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