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久しぶりの更新となるこのコーナー。救世主となったのが、初登場坂野孔一さんの作品です。

歩だけでは詰みそうにありませんが、四段目の銀や敵陣の利を活かして攻めていきます。
33手詰です。



いかにも質駒然とした91銀ですが、初手に取っても大した意味はありません。91飛成、同飛、12歩、同玉、13歩、21玉、22歩、11玉、12銀……くらいで、いきなり銀を使わされる展開になってしまいます。
素直に歩を叩いていくのが筋。

初手から12歩、21玉、22歩、31玉、32歩、41玉、42歩、51玉、52歩、61玉、62歩、71玉、72歩、81玉、82歩(次図)

一気に歩の壁が出現します。
途中で飛筋から隠れた歩を取られるとどうなるのか。4手目12玉は13歩、11玉、21歩成、同玉、12歩成、31玉、22と、41玉、32と、……、62と、81玉、72飛成まで。
この手順はどこでどの歩を取られても成立します。よって玉はただひたすら味方のいる9筋方面に逃走するしかありません。
その味方もあまり役に立ちません。最後の82歩に同銀は、同飛成、同玉、93歩成以下。72玉とかわすのが精一杯です。

前図から、72玉、73歩、62玉、63歩、52玉、53歩、42玉、43歩、32玉、33歩、22玉、23歩、12玉、13歩(次図)

二段目の壁が消滅し、今度は三段目に壁が出現しました。
ここでも変化が気になりますが、たとえば73歩に71玉なら、以下91飛成、同飛、72銀、62玉、63銀右成まで。
この変化もいつでも成立するものなので、玉は下手に一段目に下がれません。しかし、本当の壁=盤端まで追い詰められて万事休すとなります。

図から、11玉、91飛成、同飛、12銀まで33手詰

結局、銀は最後に取るのが正解でした。

初手から歩の15連打という趣向モノ。まさに歩のラッシュと言うべき手順です。
配置を工夫すれば18連打も簡単に作れそうですね。

 

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