いつの間にか初入選から10年が過ぎました。パラの入選回数も漸く50回になった様です。
そもそもパラを知ったのは、以前解答していた近将から送られてきた賞品だった。それがパラとの出会いだった。普通ならここでその中にある作品を見て感動する所なのでしょうが、私の場合は全く逆で初形を見ただけでうんざりしてしまい、感動するどころか解くのは勿論、並べる気にもなれなかった。近将や世界などの好形作ばかり見慣れていた私の目には刺激が強過ぎたのかもしれない。そんな訳で、その時のパラとの出会いは一瞬の出来事で終った。パラ会員になったのは、それからずっと後の事だった。
パラへの初登場は、S55年3月号の小学校、当時25歳、パラでは年取った新人だった。
第1番 将棋天国 S54・なつ
34金、22玉、33金、同銀、11角、23玉、45角、34桂合、同角、32玉、23金、21玉、12金、32玉、44桂、同銀引、33角成、同玉、22銀、32玉、33香、同銀、21銀生迄23手詰。
今回、ベスト10という事ですが、まだ記憶に新しい最近の作ばかりになってはつまらないと思い、S50年代の作品の中から思い出の作と好きな作を、古い順から並べてみました。
天国誌には短評があった。私はこの作で初めて解答者の声を聞いた。へたくそな自作を解いてもらえたと思うと嬉しかったし励みにもなった。
初心時代の暖かい短評は、やる気のでる栄養剤だった。
第2番 将棋天国 S54・あき
23歩、同玉、12角成、同玉、24桂、22玉、23歩、同玉、34金、22玉、33飛成、21玉、12桂成、同玉、23金、同角、24桂、21玉、23龍、同桂、43角、22玉、32角成、11玉、33馬、22金合、12歩、21玉、22馬、同玉、32金迄31手詰。
今も変わらないが好形からの流れるような捌きの作が好きだった。これは今も変わる事はないだろう。
この作はそれには程遠いが何となく愛着がある。収束飛合で変長だが当時は2手長駒余りは許容範囲と思っていたので金合は当然と思っていた。現在は変同駒余りまでと思っている。
第3番 将棋天国 S55・なつ
34金、32玉、24桂、31玉、42角成、同香、43桂、同飛、32桂成、同玉、43金、22玉、42龍、11玉、22龍、同玉、23香、11玉、21香成、同玉、33桂、22玉、21飛迄23手詰。
私は生まれも育ちも桂香付きの実戦型なのでたくさん創ったが、その割にはいいものはない。類作の危険も高い。しかし、この実戦型という名の家にはたくさんの人が古くから住みついていて新入りの入り込む余地は少ないのだから少し位似ているのは仕方無いと思っている。
この作も別段どうってことないただの実戦型だが、好手もなく軽い捌きで詰め上がるだけという現在の自分が見える様な作。易しくてつまらないという人が多いのは分っているけれど、こんなのが好きなんだからしょうがない。
第4番 詰パラ S56・1
34角、同馬、14銀、33玉、25桂、同歩、23銀成、同玉、43飛成、同馬、24金迄11手詰。
パラ向きの作風というのがあるとするなら、自分ははっきり違うと思う。好手、妙手連発の鋭さはないし、驚かす様な奇抜さもないので。
パラではありふれた手筋物で首位になるのは、とても困難に思えた。万年最下位候補が恵まれて首位になった。
第5番 将棋ジャーナル S57・7
44飛、34歩合、同飛寄、25玉、32飛成、14玉、25角生、24玉、33飛成、13玉、22龍入、同馬、14歩、24玉、34龍迄15手詰。
賞を取った作品を見ると、やはり賞を取る様な作は流石に違うと何とか自分にも分る様にはなった。自分もいつかは取りたいものだと思ったが、取れそうもないと思っていた。今でもそうだが入選するのもやっとなのに賞の方まで気がまわるはずもなかった。
初入選から4年――賞が貰えた。
|