周りから「ヨイショ」されたわけでも有りませんが、「あの八尋さんでさえ――」との単純な動機で、自分もまとめてみよう……と思っていたところへ、四〇〇号記念として、声がかかりました。
作図歴二十余年、ようやく揃えることが出来て、この程度。
若き頃、「ユーモアケンちゃん」とおだてられ、棋界をカッ歩した日も有りましたが、まさにその通りの、お笑い作品展と相成りました。
まずは、御笑覧あれ。
第1番 詰将棋パラダイス S49・12
49馬、同玉、58角、38玉、39銀、27玉、36角、同と、28金迄9手詰。
唯一の本格一ケタもの。よく見ると攻方の指し手も捨駒の連続。
これ以上の作品は、二度と作れないと、今でも思っている。
自慢にならないが、七手詰の入選作はいくつか有るものの、小学校登場はゼロ。幼稚園も、お情けで一回入選を記録しているだけ……。
第2番 詰将棋パラダイス S51・5
26飛、25角合、同飛、14玉、15飛、24玉、46角@同飛、14飛、同玉、25馬迄11手詰。
@35金打合もある。以下変同。
全力投球で取り組んでいたような記憶がある。短編らしくない重厚な作品に仕上がった……と、当時は思っていたものである。現在の覚めた目から見ると、形の重さの方が気になる。
中学校初登場作。
第3番 共済組合新聞 S51・6
26金、24玉、14飛、同玉、16飛、15角打、同飛、24玉、25金、同桂、13角迄11手詰。
アタマ五手は、付け足し。15角打の合駒は、ちょっと面白い受けの妙手ではなかろうか。
「共済組合新聞」は、全ての国家公務員を対象にして発行されている月刊紙で、昭和46年9月、第一回目の懸賞出題以来現在に至っている。
第4番 詰将棋パラダイス S55・2
22飛、同玉、31角、同玉、43桂生、42玉、41飛、同玉、63角、42玉、52角成迄11手詰。
“持駒趣向”の一局と、見栄を切るつもりは毛頭ない。無理にこの形として、持駒四枚とした――。誰もが気付くところ。
オソマツな収束で、類型的ではあるものの、「43桂」の一手で、本局の存在価値を認めてもらいたい。
第5番 将棋マガジン S55・6
27桂、同銀生、16飛、同銀生、14金、同玉、24馬迄7手詰。
この年の冬、当時『将棋マガジン』誌の編集長だった清水孝晏氏が広島へ取材にこられた。早速訪ねて行き、顔を覚えてもらい、同氏が東京に戻った頃に投稿したのが本作。即入選。
盤上の駒一揃えと、玉方の銀ナマがセールスポイントだが、これだけ攻方が強力で、余詰がないのも不思議。
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