> サイト一覧 > 読み物 > 私のベスト10スペシャル / 第14回 桜木健古(後)
 

第6番 将棋ジャーナル S62・2

51角、42桂合、同角成、同玉、43金、31玉、32飛、21玉、13桂、同香、12銀、同銀、31飛成、同玉、32金迄15手詰。
スケールは小さいながら、例の“積み崩し”の手法に属するもの。22玉と逃げられたときの31角成を想定し、検討を願ったところ、遠路はるばる来名された岡本真一郎さんら“府中三人組”の俊英が、三、四時間もこの一局にかかりきって、しかも、「わからない。どうも余詰がありそうだが」とは、何という執念、情熱でしょう!
しかし、作者としては、敬服ばかりしてはいられないので、万一の事故防止のため、飛車にシートベルトを締めさせて投稿したという次第。検討力貧しきものの苦肉の策でありました。

第7番 詰将棋パラダイス S63・10

16金、同桂、14金、同玉、12飛、13桂合、同飛成、同玉、22飛成、14玉、26桂、同馬、24金、15玉、13龍迄15手詰。
「4×4」等におさまった作が解図欲をそそるのは当然ですが、端の3列だけを使った作も(タテに長くても)不思議に食指を刺激するようです。
3手目に12飛と打つと、14銀合で詰まない。この辺をクリアーすると、あとは一直線でしょう。
創棋会創立15周年を記念しての課題作で、「玉の位置が初形、詰上りともに“15”で15手詰」というきびしい条件でしたが、創作ノートをめくってみたら、これに近い作があったので、工夫を加えたところ、うまいこと桂合が入ってくれて、さしたる苦労もなくまとめることができました。解答者にもワリと好評だったようです。

第8番 将棋ジャーナル S63・8

22銀生、同玉、42飛、32銀合、34桂、11玉、31飛、21角合、同飛成、同玉、41飛成、同銀、31角成、同玉、13角、32玉、22角成迄17手詰。
三度目の「将棋ジャーナル賞」受賞作です。(二度目の受賞作は『金波銀波集』に……)
二度の合駒を強要しておいてから、大駒3枚を一気に切る。めったにない豪快な収束なので、少なくとも賞の候補にはなるだろうと予想していました。
選者・柳田明氏の解説に、「“積み崩し”は桜木氏の最も得意な手法であるが、本作ではそれがひときわ鮮やかに……」とある。積み崩しを得手と自覚したことはかつてなかったのですが、いわれてみて、あるいはそうかも、と思いました。自分の姿は自分自身には見えにくいもの。解説者や解答者の評がありがたい理由が、こういうところにもあるわけです。
当初の構想は初形31玉とし、大駒3枚はみな持駒。初手53角と打って、22玉、42飛……とゆきたかった。53角が置き駒であるのと打つのとでは、最後の31角成の値打ちがウンとちがってきますから。しかし、力及ばず、くやし涙にくれながら(大げさ)諦めたという次第。それにしても、63歳(当時)にしては、気が若いでしょ?

第9番 詰将棋パラダイス S60・5

23桂、22玉、31馬、23玉、24金、12玉、22金、同角、23金、同玉、32馬、12玉、24桂、11玉、21馬、同玉、32香成、11玉、23桂迄19手詰。
「雪隠詰」という、香龍会の美しい課題作です。例によって創作ノートをひもといたら、王様がセッチンで、脳卒中で往生あそばす作が四つか五つあったので、その一つに手を加えました。
31金を持駒にすると、初形がウンと軽くなるのですが、そうすると余詰が続出するので、泣く泣く(よく泣くヒトです)置き駒にした次第。投稿のとき「駒取りがイヤ味……」と書いたら、柳原氏が解説で、「ごく自然で、決して悪い印象は与えていない」と慰めてくれましたが……。
特別の“山”はなく、淡々と川が流れるような作。こういうのが私は好きで、「自分らしさ」というモノサシで計るときには、第8番より上位におきたいとさえ思うのですが、パンチ力にとぼしいため、大むこうの喝采は得られにくいようです。

第10番 将棋ジャーナル S60・3

33角成、14角合、同香、同銀、46角、35歩合、25桂、同銀、35角、同金、24金、12玉、13歩、同桂、23金、同金、24桂打、21玉、32桂成、12玉、24桂、同金、22馬迄23手詰。
大量の誤無解者を出した、かなりの難解作。25桂と35角の手順前後の許されないところが、一つのヤマです。不動駒なしというのも、私の作には、めったにないものです。
17手目のダブル桂からの収束が面白いと思い、そこから逆算を試みたのですが、やるほどに欲が出、欲が出て無理をすると余詰また余詰、とうとうへたばりかけたのを柳田さんが、♪しっかりせよと抱き起こし……(古いネ)とばかりに、知恵を授けて下さって完成した作。だから、厳密には「私の……」とはいえないのだが、棋友のアドバイスによって出来る作も多々(?)あるわけだから、その一例という意味合いからも選んでみました。20手以上の作も一つぐらい、とも考えて……。
さて、書き終えて――創作開始以来ほぼ30年間の実りがこんなものかとガックリ来ないでもない。才能の貧しさに、呆れる思いをしております。

 

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