詰パラ四百号発刊、おめでとうございます。
「私のベスト10」は、過去、鶴田主幹、柳原編集長の御二人から再三再四執筆依頼を受けていました。
しかし“ゴネ得”と言うべきか、記念特集の仲間に入れて頂く運びとなり、誠に光栄に存じます。
レベルの低い作品群ではありますが、よろしく御付き合い下さい。
第1番 詰パラ 研究科 S43・2
73桂、同飛、61飛成、71飛、73桂、同角、74王、82桂合、同香成、同角、73桂、同角、91歩成、同角、73桂、同角、92香成迄17手詰。(太字は逆王手)
私が冬眠する前の発表数は、パラ・世界・近将・徳島新聞の4誌紙に90程(非入選作・不完全作を含む)。そして、十年余の冬眠から目が覚めた時、生き残っていたのは本作だけでした。
連続王手数9回は、私が持っていた唯一のささやかな記録でしたが、それも数年前、双玉の名手大和敏雄氏に更新されました(その数、何と13回!)。
一抹の寂しさがない、と言えば嘘になりますが、別にショックはありません。なぜなら、本作こそは冬眠前を代表する、いわば私の“顔”…。よくぞ創っておいたものだ、と思います。
第2番 近代将棋 研究室 S47・4
79飛、69金合、同飛、58玉、59飛打、47玉、57金、36玉、48桂、同馬、39飛、38角合、同飛、同馬、58角、47桂合、同角、同馬、39飛、38角合、同飛、同馬、69角、47桂合、37金、同銀成、45銀、35玉、36歩、同成銀、34と、45玉、78角、同と、44と引、55玉、67桂迄37手詰。
冬眠前の作品を、もう一つ――。
本作のテーマは、「途中邪魔駒化した二枚飛車を趣向タッチで捌き、その跡地へ遠角を打つ」という構想です。
狙いは高度でも、形が未整理の感。
現在なら、もう少し推敲出来そうですが、当時の力ではこれで精一杯だったのでしょう。
なお発表図に早詰があったので、玉方19とを追加しました(森敏宏氏案)。
※管理人注※5手目59金以下余詰。
第3番 詰パラ デパート S60・1
28飛打、17玉、27飛、16玉、26飛、15玉、25飛、14玉、24飛、15玉、25飛上、16玉、26飛、17玉、27飛、18玉、28飛、17玉、29桂、同角成、27飛引、16玉、17歩、15玉、25飛、14玉、24飛、13玉、22飛成、同香、23金、14玉、24飛、15玉、27桂迄35手詰。
二枚飛車によるエレベーター詰と言えば、堀半七の古作があまりにも有名。
では、堀作とは別のメカニズムで、エレベーター詰をこしらえてみよう。
これが、本作を創った動機でした。
一見して、玉方22金が質駒然。
しかし、直ぐに取りに行くのは、角の利きがあってダメ。
そこで「玉を一往復させた後、29桂、同角成と利きをはずし、もう一度取りに行けば解決する」という仕組みです。
盤面8枚で二往復弱。
解答者からも概ね好評を得て、作者としても愛着を覚える小品です。
第4番 近代将棋 研究室 S60・1 「銀杏」
78角、59玉、77角、68歩合、同角、49玉、58銀、39玉、48銀左、29玉、38銀、18玉、19歩、同玉、28銀、18玉(途中図)、19香、28玉、22飛成、25桂合、同龍、38玉、47銀左、48玉、28龍、47玉、39桂、36玉、27龍迄29手詰。
【途中図】
【詰上り図】
「ある所に銀杏の木が生えていました(初形)。秋も深まり、今が見頃です(途中図)。木枯らしが吹いて、銀杏の葉は散ってしまった(詰上り図)」
本作は、こんなストーリーを詰図化したものです。
ところが、発表誌の近将では「杏」という駒がなく、作者の意図は伝わらない。そして、20手目25桂合で38玉以下の偽作意に堕ちた人数も分からない。
さらに発表後、いつまで待っても稿料が届かない。
アレやコレやで、なぜ詰パラに投稿しなかったのか……、と悔やんでも“落葉後の祭り”でありました。
でも、解説の森田銀杏氏から「成功」と評されたのが、唯一の救いです。
第5番 詰棋めいと第5号 S61・10 「ダイエット」
56金、同玉、58香、57歩合、同馬、55玉、35馬、56歩合、同香、同玉、57金、55玉、56歩、同金左、同金、同玉、57金、55玉、56歩、同金、同金、同玉、57金、55玉、56香迄25手詰
【詰上り図】
過去「サケ」「とら」「ダイエット」「盤に画いたモチ」「ウサギの耳」「蛇の目」他の立体曲詰を創りました。
どれも人に笑いを提供し、楽しんで頂くためのユーモア詰将棋ですが、手順は本作が一番マシかと思います。
一応「持駒変換+ハガシ」のミニチュア版で、持駒香二枚のうち一枚だけ歩二枚に換えておくのがミソ。
森田銀杏―二文字の表裏曲詰で本局のような“考えオチ”をテーマにした作品は初めてでしょう。手順の方も単純なハガシではないところが面白く、ユーモア詰将棋の佳作と思います。
――即ち、ゼイ肉(金三枚)を取ると「巾」が「小」になるので、「ダイエット」と名付けた訳です。
ところで最近、若手某君から「おじさん」と言われて、ガクッときました。
誰も志願して「肥満と脱毛」圏に突入する者はいない。あー、やだやだ!
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