> サイト一覧 > 読み物 > 私のベスト10スペシャル / 第16回 宿利 誠(後)
 

第6番 詰棋めいと第5号 S61・10 「裏矢倉」

(全=成銀、圭=成圭、杏=成香)
32飛成、同成桂、31角、21玉、32馬、同成銀、33桂打、同金、同桂生、31玉、21金、同成香、同桂成、同玉、12金、31玉、43桂、同成銀、22金、41玉、32金、51玉、63桂、61玉、71桂成、51玉、52香迄27手詰。
冬眠前の代表作が第1番なら、復活後のそれは本作になるでしょうか。
秋元節三―自陣成駒でも好形ができるんですね。
――よくぞ言ってくれました。でも私見では「自陣成駒作品こそ好形が出来易い」。なぜなら、現時点で類似作の心配など、ほとんど無用ですから…。
さて本作のまとめは、何と言ってもこの方にお願いしましょう。
塩沢雅夫― 一目見て狂喜しました。泣いて喜びたくなる形です。成金という駒がないのが残念。凄絶なるユーモアだと思います。(私信より)
――本作を鑑賞して下さる皆様には、是非「金」も裏返しに並べて頂くようお願いします。

第7番 将棋ジャーナル S61・8

37銀、19玉、17桂、29金合、18金、同玉、28金、同金、19金、同金、48龍、17玉、26銀、16玉、18龍、同金、17歩、同金、25銀直迄19手詰。
「裏矢倉」を創った後、今度は「裏玉」を創りたい、と思った。が、さすがにこれは無理筋に違いない。(フェアリーの仲間にも入れて貰えない?)
そこで、妥協案として「逆向き玉」を発想し、完成したのが本作です。
パラ63・2、高校に発表した作品とは姉妹同士で、「将棋ジャーナル」初入選作でもあります。
合駒で発生した金の動きが面白いので、ひょっとしたらジャーナル賞に引っ掛からないか? と期待して、密かに顔写真を用意した。
しかし、審査の結果は満票ながら△ばかりで、あえなく落選。
なお、その時の不要品は「欲しい」という某君に進呈しました。その後、私はいつの間にか各地の会合に写真参加したとかしないとか。さて真相は?

第8番 詰パラ デパート S62・12

26金、同桂、17歩、同玉、26銀、16玉、25銀引、同桂、17歩、同桂生、25銀、15玉、24銀引、同桂、16歩、同桂、24銀、14玉、23銀引、同桂、15歩、同桂、23銀生、13玉、25桂、23玉、33金寄、同香、同金、24玉、35金、同玉、34金、同玉、33桂成、同玉、34歩、同玉、35歩、同玉、36歩、同玉、37歩、同玉、38香迄45手詰。
詰上り図

本作は相馬康幸氏の芸術品に憧れて創りました。が、結果はオリジナリティーのない既成プロットの組み合わせにすぎず、詰上りも角がポツンと取り残される。やはり相馬流家元(注:踊りの先生に非ず)にはかないません。それでも、接続部と詰上り(四香詰)が気に入っているので、ここに選んだ次第です。
それに私、本当は軽くて捌きの良い作品が大好きなんです。
どうか、信じて下さいませ。

第9番 詰パラ 高校首位 S62・7

68角、88玉、77銀、99玉、88銀、同玉、77角、79玉、78飛、同角成、88角、68玉、79角、同馬、66龍迄15手詰。
本作は典型的な逆算物。まず収束3手から出発し、5手→7手と引き延ばす。
ここで投稿したら吉田健氏作に間違われる?ので、もうひと頑張り…。
そんな経緯で見つけたのが、邪魔駒(66銀)の原形消去でした。
角の動きがコミカルで収束も決まり、手順は面白いはず。
欲を言えば、駒数をもう一枚減らしたかったが、紛れが強力でダメでした。
本作の締め括りに、二度と言えない?このセリフを言わせて下さい。
「谷川名人に勝ったんやでぇ!」

第10番 詰パラ 短コン2位 S62・6

61角、同龍、34銀、54玉、45銀、65玉、62飛成迄7手詰。
焼鳥―皆さん、お待たせしました。
宿利―誰も待ってへんがな…。
という訳で、俗に宿利流と呼ばれる、悪形難解作の登場です。
冬眠から目覚めて以来、主に短コンに発表した一連の作品群は、順位の割に評判が悪い。
「変化複雑で目まいがした」と言ってくれる人はいても、「作意に感動して失神した」と言ってくれる人は皆無。
こういう私自身、実はこの種の作が大嫌い。
で、何故に悪形難解作を創り続けたのか? その心理は、同じ冬眠作家の宇佐見正氏が代弁して下さいましたので、ここでは省略致します。
今後は、根性一筋の方針を自粛し、解答者に好かれる作家になりたいものですが、願いは叶うや否や?
■※管理人注※初手34角、54玉、42飛成、43香合、同馬、同金、45銀、65玉、43角成以下余詰。

最後に本稿、あの世の鶴田主幹が酒の御供に、楽しく読んで下されば幸いです。

 

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