ではまず、前回の解答から。
[第1図]
【正解】
13飛、21玉、@23飛生、31玉、32歩、同玉、33角成、31玉、22飛成まで9手
@23飛成は31玉で、32歩が打歩詰。
初手から22飛は11玉で、また32飛は23玉で届きません。3手目11飛成は同玉と取ってくれれば33角成で詰みますが、32玉と逃げられてだめ。
▲マニ夫「まあ、適当に紛れはあるけど、不成作品としては素材に過ぎんのう」
無駄駒なしで、これはこれでいいんじゃないでしょうか。大駒一枚くらい捨てたかったですがね。
色々なサンプルをご紹介してきました。直接王手をかける駒の不成、そして間接的な、王手をかけない駒の不成等がありました。
さて、ここまでは全て攻方に発生する不成手筋でしたが、玉方の応手にもこのような不成があります。それを次にやってみましょう。
[第2図]
△白人「ずいぶん遠いところに飛車が置いてあるね。どういう意味かな?」
▲マニ夫「こういうのを、わざとらしい言うんじゃ」
初形から打歩詰の状態ですね。なんとか13歩を取らせるようにすれば良いのですが、それは……。
【正解】
24桂打、@同角、同桂、A同飛生、B23角、同飛、13歩、同飛、21馬まで9手
@24同飛生は同桂、同角、22飛以下。
A同飛成は13歩、同龍、21馬で2手早い。
△白人「Bで45角と離して打って詰むんじゃないの?」
▲マニ夫「そらお前、45角には34歩合とされて、同角、同飛で、13歩を取ってもらいたい飛車があっちゃ行ってしまうやないけ!」
△白人「どうでもいいけど、ちょっとガラが悪いねェ」
▲マニ夫「スマン。これがワシの全てや。ワシの全てをお前にやる」
△白人「いらないっつの!」
詰将棋に慣れてくれば、13歩を玉方の駒で取らせて21馬までの詰みは、すぐにでも目につくはず。そこへ誘導するために捨駒で敵の守備を近づけるんですが、玉方も抵抗します。本作のように24同飛生と、打歩詰に誘おうとする玉方不成の手筋が発生することになります。
では、もうひとつ。
[第3図]
これも玉方不成が登場します。
△白人「エッ。3手詰じゃないの、これ?」
▲マニ夫「アホか、ホンマに。宇宙で死んで来い!」
お分かりでしょうね。【正解】手順は、
37龍、@27角生、26銀、16玉、28桂、同馬、17歩、同馬、25銀まで9手
@27角成は26銀、16玉、17歩、同馬、同龍まで早詰。
これは“移動合成らず”というちょっと高級な手筋ですが、作品としてはもう少し紛れが欲しいところ。
で、次図ならどうでしょう。
[第4図]
これは結論から言うと詰みません。
初手から37龍、27角生、26銀、16玉、28桂と第3図と同様に進んで、この時に同銀成とされて打歩詰を打開できません。打歩に誘うための“成”というのもあるわけです。
不成手筋をご紹介してきましたが、まさにこれは、目の前にあるお菓子をあえて食べないようなもの。『食べられるものを食べない方がお腹がいっぱいになる』という、マーフィーの法則に出てきそうな理屈ですかね。
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