> サイト一覧 > 読み物 > 詰将棋オモロ講座 / 第11回 〜ソッポ行き〜
 

▲マニ夫「詰将棋で一番難しいのが、あっちゃ向いてホイ、いうやっちゃのう」
△白人「何、それ?」
▲マニ夫「分からんのかいや。例えばこれや」

[第1図]

△白人「22桂成ぐらいしか手がないんじゃないの?」
▲マニ夫「それやと同玉と取られて、後はどうしようもないやろ。こないすんね」

【正解】
42桂成、@45龍、24桂、22玉、32成桂まで5手
@21玉は33桂、22玉、23角成まで。

主に開き王手をかける時に、駒が敵玉から遠くなる方向へ移動する着手を“ソッポ行き”と言います。(開き王手でない場合も、もちろんある)
攻駒が玉から遠ざかるのは心理的に不利感があるため、意外性は十分と言えるでしょう。
▲マニ夫「似たような図やけど、これ考えてみィ」

[第2図]

△白人「第1図と同じようにするの? 43桂成と……」
▲マニ夫「もうちょいヒネらんかい」
△白人「ヒネるって、53桂成?」
▲マニ夫「そこは行けんやろが!」

【正解】
43桂生!、22玉、31飛成、11玉、55角まで5手

今度はソッポ行きの“不成”でしたね。この種の作図例は数多くあるようです。
▲マニ夫「今度は大駒で行ってみたろか」

[第3図]

△白人「23龍、33香合、同角成、同角、12香まで」
▲マニ夫「都合のエエ合駒すんなや。歩合で詰まんやろ!」

【正解】
24龍!、12玉、22角成まで3手

玉方の飛・角両方の利きを遮るための24龍。これは“限定移動”という言い方もできますね。
それでは、ソッポ行きの手筋を利用した典型的な名作をここにご紹介しましょう。
これは柏川香悦(柏川悦夫)氏の作品で、発表当時は世間をアッと言わせました。

[第4図]

△白人「難しいねぇ」
▲マニ夫「こりゃ、お前には解けんわい」
△白人「君はどうなの?」
▲マニ夫「ワシは知っとる」

【正解】
41金!、13玉、22飛成、24玉、33龍、@同玉、42角成、22玉、34桂、12玉、13香、同玉、25桂、12玉、22桂成、同玉、31馬、12玉、13桂成まで19手
@15玉は35龍、16玉、25龍、17玉、19香以下。

まさかという感じの初手41金。33金が普通でしょうが13玉、22飛成、24玉、23龍、35玉と逃走されてしまいます。
金ソッポを無理のない実戦型に盛り込むあたりが、柏川氏の構想力と言えるでしょう。
▲マニ夫「ソッポ行きの先駆やで」
△白人「詰研から出された柏川氏の作品集“詰将棋半世紀”にも、これ収録されてるらしいよ」
▲マニ夫「よう知っとるやないか。パラでもあっせんしとるらしいぞ」
△白人「ホント? じゃ、すぐ買いに行こう!」
(※同書のあっせんは当時の話です。現在はすでに売り切れております)

 

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