詰将棋というのは、解く人や見る人の主観によってその評価は当然異なりますよね。妙手を妙手と感じるか、また“俗手の好手”というのもあります。それをどう評価するかは人それぞれということです。
そこで、客観的に作品の価値を判定する試みもいくつかなされています。それが、
@動駒率
A消去率
B回転率
などによる見方です。
▲マニ夫「そんな数学的な方法で、詰将棋の良し悪しが決まるはずないやんけェ!」
おっしゃる通りです。
△白人「あくまで、ひとつの指標ってこと?」
そうですね。詰将棋作品の“初形”“詰上り”“手数”などから判断する方法で、こういう見方もある、ということで今回はまず“動駒率”からご紹介したいと思います。
例として1図(平成6年2月号本講座に掲載)をご覧ください。
[第1図]
この作意手順は、
13飛、21玉、23飛生、31玉、32歩、同玉、33角成、31玉、22飛成まで9手
で、詰上りは2図
[第2図]
初形と詰上りを見比べてください。初形で配置駒は4枚。このうち詰め上がるまでに動かなかったのは、41歩の1枚だけ、したがって3枚の駒(玉方、攻方を含めて)が動いたことになります。
動駒率:3÷4=0.75 (75%)
となります。
△白人「持駒は計算に入れないの?」
はい、持駒は必ず打たれるわけですから、この際計算からはずしましょう。
▲マニ夫「動駒率がどないやっちゅうねん!?」
あくまで指標なんですが、不動駒が多いよりは少ない方が、感触は良いということでしょう
では、3図(同2月号掲載)
[第3図]
【正解】
37龍、27角生、26銀、16玉、28桂、同馬、17歩、同馬、25銀まで9手
詰上りは4図。
[第4図]
△白人「これは初形配置が7枚で、詰上りが4枚だから、
動駒率:4÷7=0.57(57%)
ということだね」
▲マニ夫「お、計算はちゃんとできるんやなァ」
3図は1図に比べて、ちょっと動駒率が低いということになります。もちろん、これだけで作品の価値を判定できるわけではありません。
では、5図(同6月号掲載)
[第5図]
【正解】
34角、同飛、23銀、21玉、32銀生、12玉、23飛成まで7手
[第6図]
△白人「この12玉は同じ位置で詰んでいるけど、動いているよね」
はい、ですから、
動駒率:3÷7=0.43(43%)
となります。駒が動くほど美しいという感じ方から“動駒率”という考え方が生まれたのでしょうね。
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