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       “回転率”というものがあります。 
        第1図は第7回のオモロ講座掲載の作品ですが、この回転率はどうなるのでしょうか? 
        その前に、本作の作意を復習しましょう。 
      [第1図] 
           
      【正解】 
        24角成、同玉、51角、23玉、13飛成、同桂、24金、32玉、33金、31玉、42角成まで11手詰 
      △白人「回転率って、角や飛がグルグルと何回転するかという」 
        ことではなくて、使用駒数に対する手数の割合です。 
        第1図の場合、 
        11(手数)÷9(駒数)=122% 
        が、この作の回転率ということになります。 
        △白人「回転率は大きいほどいい?」 
        ▲マニ夫「でもこれなんか、7手目からはダレとるやんケ。最終手も非限定(42金も可)やし…」 
        はい。くどいようですが、これもひとつの指標です。一般的に、使用駒が少ない割に手数の長い方が、詰将棋作家の目指すところかもしれません。 
        ▲マニ夫「そうやない人も絶対おりまっせ!」 
      [第2図] 
           
      △白人「これは、どうなるの?」 
         
        この正解手順は 
        24金、同玉、25銀打、同龍、33銀生まで5手詰 
        (第8回オモロ講座より) 
      したがって回転率は、 
        5(手数)÷9(駒数)=56% 
        △白人「それじゃ、第2図の方が第1図よりも回転率が悪いということになるね」 
        ▲マニ夫「しかし、第2図の方がピシッと決まっとるで」 
        △白人「僕は第1図の方が好きだなぁ。駒の打換え手筋も入っているし」 
        中身との相対評価になりますかね。 
      では第3図をご覧ください。これは、近代将棋、昭和41年5月号に掲載された、谷向奇龍氏の作品です。 
      [第3図] 
           
      △白人「62飛成は93玉で逃げられちゃうねぇ。難しい!」 
      【正解】 
        71角、73玉、62角成、64玉、44馬(第4図)、73玉、63飛成、同玉、54金、73玉、62馬、82玉、72金、93玉、84金、同歩、71馬、83玉、82馬まで19手詰 
      [第4図] 
           
      さり気ない実戦型から、まさかという大技が飛び出します。大海へ逃がしそうな62角成から44馬がそれ。ここで75玉とする手は、66馬と引き戻して早詰です。 
        実戦型の名作と言えるでしょう。 
        △白人「7手目63飛成に、84玉と逃げるとどうなるの?」 
        ▲マニ夫「それには75金という奇手があって、同歩に74金、95玉、77馬、86合、85金以下詰みや」(※) 
        △白人「「はぁ、流石だね」 
        本作の回転率は 
        19(手数)÷11(駒数)=173% 
        となります。 
      さて、では2月号からの復習をしておきましょう。 
        動駒率:動いた駒数/配置駒数 
        ……多くの駒が動く方が良い。 
        消去率:消えた駒数/使用駒数 
        ……捨駒が多いほど良い。 
        回転率:詰手数/使用駒数 
        ……駒数の割に手数の長いほど良い。 
        となります。作る時も解く時でも、参考にしてみてください。 
        ▲マニ夫「参考程度でエエ」 
      (※)75金、同玉、66馬、86玉、83龍、85飛合以下変化長手数順がある。今回転載するにあたって調べたところ発覚。既知かどうかは不明。 
        
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