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一本道詰将棋――それは、変化も紛れも持たない、その名の通り一本道の詰将棋のこと。
解くにあたっては比類なき易しさですが、作るにあたっては高い難度を誇ります。
その来歴は【番外編1「一本道詰将棋」】で記しました。
これまでの最長記録は、昭和56年(1981年)に発表された玉野忠捨氏作43手。
それから30年を経た2011年10月。ついにその記録が破られる日がきたのです。

作者である詰棋猫(つめきねこ)さんの文章をもとに、紹介していきましょう。

詰棋猫
「以前、1998(平成10)年頃だったと思うのですが、全く変化の余地のない詰将棋があったら面白いなと思い、45手詰を何作か(左3列はほとんど同じで残りの配置が違うもの)作ってみたことがありました。
当時は一本道詰将棋の事を知らなかったので、勝手に無変化詰と呼んでいました。
友人にその詰将棋を見せたところ、反応はいまひとつでしたが。
その後ホームページで一本道詰将棋の事を知り、その45手詰のうちの一つを改良して47手詰を作ってみました。」

詰棋猫作47手
詰棋猫作47手

詰棋猫
「ちなみに、盤面の4三金、4四歩、5六とを取り除き、玉方4三歩と攻方の持駒に歩を加えると、玉方の指し手が全て、玉移動の45手詰になります。」

玉野氏作と同じく、1筋を離れるのに12手を要しています。収束の駒繰りで手数をのばし、記録を4手更新!

詰棋猫
「新たに51手詰の一本道詰将棋を作ったので投稿させていただきます。
今回は、玉方の指し手が全て、玉の斜め移動という趣向を凝らしてみました。」

詰棋猫作51手
詰棋猫作51手

よもやの飛車の回転趣向が出現。くるくると回りながら玉を追いかける様は滑稽ですらあります。玉の斜め移動限定に加え、攻方は縦横の移動限定という驚きの趣向入り。ついに50手を超える!

詰棋猫
「51手詰の詰将棋を改良して55手詰を作りました。
今回も玉方の指し手は全て、玉の斜め移動です。
今作は詰上りに少し凝ってみました。
詰上り図の菱形の部分(1五〜5九〜9五〜5一)に8種類の駒を全て使用しています。
内訳は玉と大駒(飛、角)が各1枚、小駒(金、銀、桂、香、歩)が各2枚です。
そして、玉の最初の位置(4一)から55手で9六まで移動、つまり、41+55=96という、足し算の図式になっています。
せっかくなので作品名を付けてみました。
作品名は「ダイアモンド」です。」

詰棋猫作55手「ダイアモンド」
詰棋猫作55手「ダイアモンド」

基本的な構造は51手と同様ですが、細かいところで手を稼ぎ、55手に到達! 配置にも作者の繊細な気配りが施され、一本道なのに詰将棋の持つ美しさが感じられます。

全駒使用に近いほど手数がのびるかと思っていたのですが、今回の記録作55手では、9枚の駒を余しています。果たしてこれに意味があるや否や……。
30年かかって一気に12手更新された最長記録。また破られる日がくるのか、新たな楽しみが生まれました。

(追記)
番外編1「一本道詰将棋」の中の福優慶麗氏作に誤りがありました(59とではなく歩が正)。
これを機に訂正させていただきました。

 

 

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