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若手実力派として着実に名前を売りつつある大崎壮太郎さんの登場です。

第3話をはじめとして、当コーナーでもいくつか紹介してきた「後手に持駒制限」のある詰将棋です。その分、合駒をお手軽に出すことができますし、解く方にも労力削減のメリットがあります。

飛車2枚が向き合って、持駒は双方とも金香香。タイトルから考えても、どうやらこの香車が息詰まるやりとりを繰り広げるようです。(他の作品もそうですが、タイトルは管理人が勝手につけているものです(^^; 作品そのもののタイトルではなく、このページのタイトルです。)
29手詰です。



初手11金は22玉と軽く受け流すのが分かりやすい逃れ方。となると24香(29香までどの地点でも可)と離して打つしかないようですが、玉方も必死に抵抗します。
24香に単に12玉と逃げると23金以下詰み。また22合駒は11金、同玉、31飛成と進めて簡単です。もし玉方が銀を持っていると22銀合で厄介なことになりますが、持駒制限があるので安心してください。
玉方最強の抵抗は、23金を打たせないための中合い、23香合です。

初手から24香、23香(図)

ここは単純に取るしかありません。12玉とかわされて再度香を離して打ちますが、ここでも香の中合いが登場。単に23玉は25香、24合、13金で簡単です。25香の時に14玉と逃げるために、中合いで香を近づけておくわけです。

上図から23同香不成、12玉、15香、14香(次図)

これで仕掛けが解明できました。あとはこの繰り返しで、攻方飛車のテリトリーに玉を引っ張りこみます。

図から14同香、23玉、26香、25香、同香、14玉、17香、16香、同香、25玉、28香、27香、同香、16玉、19香、18香、同香、27玉、28香、同玉、29金、27玉、28香まで29手。

25手目28香のところ、つい29香と打ってしまうと18玉でおかしなことになってしまいます。最後まで油断は禁物。

後手の持駒の金が気になった方もおられると思います。これは、5手目19香!という余詰を防いだもの。以下14香、22香成!、同玉、24香、23香、同香成、同玉、25香、24香、同香、同玉、……、29香、28香、同香、同玉、29金、27玉、28香まで。持駒に金があれば、どこかで金合をすれば詰みません。

また、この金のせいで2手目23金などの厄介な中合いが生じますが、以下23同香、12玉、15香、14香、同香、23玉、26香と作意同様に進めて27玉まで引きずり込み、17金〜29金で詰み。23香合よりも早く詰んでしまいます。

持駒制限というルールを生かした軽趣向、魅力的な対峙形。作者の着眼点の良さ、センスの良さが感じ取れますね。

 

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